脂肪肝の話題② 脂肪肝とがんの関連について
脂肪肝の話題② 脂肪肝とがんの関連について
ポイント
・代謝関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、肝臓がんだけでなく、大腸がん・胃がん・乳がんなどの発症リスクとも関連することが報告されています。
・MASLDは肝臓だけの病気ではなく、全身に影響を及ぼす代謝性疾患として考えられています。
・脂肪肝を指摘された方は、肝臓だけでなく、年齢やリスクに応じたがん検診を受けることが大切です。
近年、代謝関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、単なる「肝臓に脂肪がたまる病気」ではなく、肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などを背景とした全身性の代謝性疾患として考えられるようになっています。
当院でも、健康診断や腹部エコー検査をきっかけに脂肪肝を指摘され、「肝臓がんになるのでしょうか」「ほかのがんとの関係はありますか」とご相談いただくことが少なくありません。
脂肪肝はB型肝炎やC型肝炎ほど肝臓がんの原因となる頻度は高くありませんが、進行すると肝臓がんを発症することがあります。また近年では、肝臓以外のさまざまながんとの関連についても研究が進んでいます。
MASLD診療ガイドライン2026では、これまでの研究結果をもとに、MASLDとの関連が報告されているがんとして、
・肝臓がん
・大腸がん
・胃がん
・食道がん
・婦人科がん(乳がんなど)
が挙げられています。
「肝臓がん」
MASLDによる肝臓がんの多くは、肝線維化(慢性的な炎症により肝臓が硬くなる変化)が進行した方に発症します。
特に肝硬変や、それに近い高度の線維化がある場合には、肝臓がんの発症率は年間1〜2%程度と報告されており、定期的な経過観察が重要です。
進行した線維化がある場合には、
・6か月ごとの腹部エコー検査
・定期的な腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-Ⅱ)の測定
が推奨されています。
また、線維化が軽度の場合でも発がんリスクはゼロではないため、年1回程度の腹部エコー検査による経過観察が望まれます。
腹部エコー検査では、肝臓の形態だけでなく、線維化や脂肪化の程度を評価することで、肝臓がんのリスク評価にも役立ちます。
当院では、通常の腹部エコー検査に加え、エラストグラフィーや脂肪減衰法を用いて、肝臓の硬さや脂肪化の程度を数値化し、治療効果の判定や経過観察に活用しています。
大腸がん
MASLDでは、大腸がんの発症リスクが高くなることが報告されています。
肥満や糖尿病、食生活の欧米化など、MASLDと大腸がんには共通するリスク因子が多く存在することが、その一因と考えられています。
大腸カメラ検査では、大腸がんの早期発見だけでなく、前がん病変である大腸ポリープを切除できる場合があり、大腸がんの予防にもつながります。
胃がん・食道がん
MASLDでは、胃がんや食道がんとの関連も報告されています。
その背景には、肥満や逆流性食道炎、生活習慣など複数の要因が関与していると考えられています。
胃カメラ検査は、胃がんだけでなく食道がんの早期発見にも有用です。
婦人科がん(乳がんなど)
MASLDと乳がんとの関連性も報告されています。
特に閉経後女性では、肥満やインスリン抵抗性、慢性炎症などが関与している可能性があると考えられています。
定期的な乳がん検診や婦人科検診を受けることが大切です。
まとめ
MASLDは肝臓だけの病気ではなく、全身に影響を及ぼす代謝性疾患です。
関連するがんを早期に発見するためには、
・腹部エコー検査
・胃カメラ検査
・大腸カメラ検査
・各種がん検診
を年齢やリスクに応じて定期的に受けることが重要です。
当院では、腹部エコー検査による脂肪肝・肝線維化の評価に加え、胃カメラ・大腸カメラ検査も行っています。
健康診断などで脂肪肝を指摘された方は、そのまま放置せず、お気軽にご相談ください。
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