
肝臓内科
肝臓内科
肝臓は沈黙の臓器と呼ばれ、自覚症状が出にくい病気です。健康診断などで異常値が見受けられた際はお気兼ねなくご相談ください。
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脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積され肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態をいいます。
生活習慣病の一つとして増加の一途を辿っており、肝臓専門医の間でトピックとなっています。
主に、メタボリックシンドロームに関連する代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)、飲酒に関連するアルコール関連肝疾患(ALD)、両者が影響する代謝機能障害アルコール関連肝疾患(MetALD)に大別されます。
脂肪肝は症状が出ることはありませんが、肝硬変や肝臓がんの原因にもなる怖い病気です。
健康診断などで肝臓の数値が高いと言われた場合は調べておいた方が良いでしょう。
体重が2〜3kg増えただけでも肝臓に脂肪がたまる可能性があります。
当院では腹部超音波検査やスコアリングによる定期チェックを行っています。
B型肝炎ウイルスによる肝炎で、急性と慢性に分けられます。
かつては母子感染や輸血、注射針の使いまわしが主な感染経路となっていましたが、最近では性感染症としての感染が増加傾向です。
平均3ヶ月(1~6ヶ月)という長い潜伏期を経て、急性肝炎として発症し、全身倦怠感、食欲不振、悪心、嘔吐、褐色尿、黄疸などが出現します。安静などの保存的治療で沈静化することが多いですが、中には急性肝不全(劇症肝炎)に至り命に関わる場合もあります。
急性肝炎が沈静化した後、慢性肝炎へ移行する場合があります。
かつては5%未満と言われていましたが、近年増えている欧米型の遺伝子型のウイルスの場合は約10%が慢性化すると言われています。
慢性肝炎は肝硬変へ進展し肝臓がんの原因となる場合があるため、注意が必要です。
抗ウイルス薬による継続的な治療が必要となる場合があります。
C型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染します。現在国内の感染者の多くは、C型肝炎ウイルスが発見される前の輸血や血液製剤、注射針の注射針の使い回しにより感染したと考えられています。
感染対策がなされており、現在ではこのような原因で新たに感染することはほとんどありません。
現在新たに感染する患者さんの原因は刺青や薬物(覚醒剤など)の注射などが挙げられますが、感染経路の判明しない場合も多くあります。B型肝炎と異なり急性肝炎として強い症状を認めることは稀ですが、高率にキャリアと呼ばれる持続感染の状態へ移行します(70~80%)。
キャリアから慢性肝炎、肝硬変へ進展した場合、肝臓がんの原因となります。
以前は持続感染したC型肝炎ウイルスの排除は困難でしたが、2014年から保険適応となった直接作用型抗ウイルス薬(DAA)により、現在はC型肝炎は治る自体となっています。
肝硬変とは肝臓に慢性的に炎症が起こり、徐々に線維化(肝臓にかさぶたの様な物質ができ、通常の機能が果たせない状態)が進行して肝臓が硬くなった状態のことです。
肝臓本来の細胞の構造が破壊され、肝臓の機能が低下します。
肝臓の主な働きは、栄養分の代謝、有害物質の解毒、胆汁の生成と分泌であり、これらが障害されることで栄養状態の悪化(低アルブミン血症)、アンモニアの蓄積(肝性脳症)、処理しきれないビリルビンの蓄積(黄疸)などが生じます。
さらに進行すると肝不全(肝臓の機能が大きく低下し、役割を果たせなくなる状態)となり、命に関わる場合があります。
肝硬変の原因はかつてはC型肝炎が大半を占めていましたが、C型肝炎の罹患率(かかる人の割合)の低下や治療薬の登場により、最近ではアルコール性肝障害や脂肪肝の占める頻度が増えています。
肝臓は自覚症状の出にくい臓器であり、初期には自覚症状はほとんどありません。
特有の症状は少ないのですが、進行した場合に腹部のしこりや圧迫感、痛みなどを訴える方もいます。
また、肝表面にできたがんが腹腔内へ破裂すると、腹部の激痛や血圧低下を起こす場合があります。
早期発見のため、リスクの高い方にはサーベイランスと呼ばれる定期検査が推奨されます。
高リスク群として、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、肝硬変が挙げられます。
アルコール性肝障害や脂肪肝の方で肝硬変に至る前に肝臓がんを発症する場合もあるため、注意が必要です。
当院では腹部超音波検査と腫瘍マーカーを組み合わせた定期チェックを行っています。